信用金庫とは?銀行との違い利用するメリット・デメリットをわかりやすく解説

中小企業や個人が融資を希望する際のよき相談相手として、きめ細やかなサービスを提供している信用金庫、これから事業を始めたい小規模事業者にとって、心強い存在です。

しかし、信用金庫に魅力を感じてはいるものの、信用金庫とはなにかを明確に理解している方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、信用金庫の定義や銀行との違い、融資を利用する際の流れなどについて詳しく解説します。

この記事を読むことで、信用金庫とはなにかを明確に理解し、ご自身にとって最適な融資先を決めるための判断材料を得られるはずです。

信用金庫について詳しく知りたい方や融資を検討している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

信用金庫とは?

信用金庫とは、「信用金庫法」による会員の出資にもとづいて組織された、非営利法人を指します。

地域の相互扶助を目的としているため、地域の活性化を図る金融をおこなっています。

そのため、融資している地域の中小企業の事業がうまくいっていなくても、将来的な成長を信じてサポートしてくれることが特徴です。

また、銀行と比較すると融資を受けやすいのも信用金庫の特徴といえます。

信用金庫と銀行の違い

信用金庫と銀行は似ているため、違いを明確に知っている方は少ないのではないでしょうか。

ここでは、信用金と銀行の違いについて詳しく解説します。

信用金庫と銀行のおもな違いは下記のとおりです。

  • 運営している組織
  • 対象となるエリア
  • 金利

順番に解説します。

運営している組織

信用金庫と銀行では「運営している組織」に違いがあります。

前述しましたが、信用金庫は信用金庫法にもとづき運営されている「非営利法人」です。

地域に住んでいる会員の貯蓄の増加や、経済的地位を上げることに貢献しており、おもな取引先は中小企業や個人です。

一方、銀行は「銀行法」にもとづき運営されている、株式会社組織としての「営利法人」であるため、株主の利益を目的として運営がおこなわれています。

信用金庫より規模が大きく、中小企業や個人よりも大企業との取引をメインにおこなっています。

そのため、信用金庫で融資を受けるのに適しているのは、中小企業や個人などの小規模の法人です。

対象となるエリア

信用金庫の対象エリアは、一定のエリアに限定されており、銀行のように幅広いエリアには対応していません。

前述しているように、信用金庫は相互扶助の精神で地域密着を図る組織であるため、対象エリアは地域周辺に限定されているのです。

「地域で預かったお金は地域に還元する」考え方を大切にしています。

そのため、対象となるエリア外の方は、融資を受けられません。

金利

信用金庫からの借入は、メガバンクや地方銀行などからの借入と比較すると割高です。

信用金庫が取り扱っている融資が、少額であることが多いためです。

信用金庫は銀行と比較するとサービスはよいですが、そのサービスのよさを維持するために、定期的に融資先への訪問をおこなっています。

そのため、営業マンへの人件費などにコストがかかるため、金利に上乗せされています。

銀行より手厚いサービスを受けられますが、金利は少し割高になってしまうのです。

信用金庫でお金を借りるメリット・デメリット

ここでは、信用金庫でお金を借りるメリットやデメリットを紹介します。

銀行と比較して、良い点もあれば悪い点もある信用金庫。

メリット・デメリットを理解したうえで、信用金庫を利用するか検討してみてください。

信用金庫のメリット

地域密着型の金融機関である信用金庫は、中小企業や個人事業主でも比較的利用しやすい点がメリットといえます。

銀行は営利組織のため、融資額が低い取引には消極的な傾向にありますが、非営利組織である信用金庫の場合には、地域社会発展という観点から審査を実施。

銀行の場合は、不景気になったり、事業がうまくいかなかったりすると、融資を断るケースがありますが、信用金庫だと中長期的に支援してくれる傾向にあります。

Web上で借り入れできる信用金庫も増えており、気軽に利用できる点もメリットといえるでしょう。

信用金庫のデメリット

一方で、利用できるエリアが限られている点が信用金庫のデメリットです。

また、利用するには会員資格を満たす必要があり、銀行より金利が1%ほど高い点もデメリットといえるでしょう。

少額取引を主におこなう信用金庫の場合は、金利に人件費などのコストも上乗せしているため、銀行より高くなるのです。

融資額にも限度があるため、多額の資金調達をおこないたいなら銀行を検討すべきでしょう。

信用金庫の審査基準や利用する際の流れ

ここでは、信用金庫の審査基準や利用する際の流れについて解説します。

信用金庫を利用しようか検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

審査基準

審査基準は、借入先の信用金庫やローンの種類によって異なるため、明確に公表されているわけではありません。

ただ、基本的には下記の項目をもとに審査していると考えられます。

  • 資金を使う目的
  • 返済能力があるか
  • 信用金庫の会員資格があるか
  • 経営者や会社の信用

資金を借り入れる目的はなにか、返済能力があるかなどが審査で見られます。

また、信用金庫は相互扶助の精神で地域の活性化を図っているため、融資する事業が地域の活性化に貢献すると認められれば、審査を通過しやすくなるでしょう。

利用する際の流れ

信用金庫で融資を利用する際の流れは下記のとおりです。

  1. 融資の申込をする
  2. 書類を準備する
  3. 書類を提出する
  4. 審査がおこなわれる
  5. 審査の合否が決まる
  6. 融資実行
  7. 信用保証協会に信用保証料を支払う
  8. 返済条件にもとづき借入金を返済する

まず、「信用保証協会」をとおして、信用金庫に融資の申込をおこなう必要があります。

信用金庫によっては利用できる融資の条件も異なるので、申込をする前に利用できる信用金庫を調べましょう。

次に、融資を受けるための書類を準備します。

必要な書類は信用金庫によって異なるので、信用金庫に必要な書類の確認をおこないましょう。

申し込みを済ませ書類を提出すれば審査がおこなわれ、融資を受けられるかの合否が決まります。

審査に合格であった場合は融資を受けることができ、融資が実行された際に「信用保証料」を信用保証協会に一括で支払います。

そして、返済条件にもとづいて借入金を信用金庫に返済していくという流れです。

6つの信用金庫

ここまで、信用金庫の定義や銀行との違い、融資を利用する際の流れなどについて解説しました。

ここでは、下記の6つの信用金庫について詳しくご紹介します。

  • 城南信用金庫
  • 西武信用金庫
  • さわやか信用金庫
  • 芝信用金庫
  • 世田谷信用金庫
  • 巣鴨信用金庫

それぞれ特徴や融資商品なども異なるため、各信用金庫の違いを押さえ、ご自身に最適な信用金庫選びの参考にしてください。

城南信用金庫

出典: 城南信用金庫公式HP

信用金庫名 城南信用金庫
本店場所 東京都品川区西五反田7-2-3
預金残高 3兆9,841億円
振込手数料(ATM) 同行宛て:220円(3万円以上)

他行宛て:440円(3万円以上)

融資商品 城南中小企業会計・応援ローン、城南商店街活性化ローン、地域再開発ローンなど

 

城南信用金庫は、預金残高が3兆9,841億円と、今回ご紹介する信用金庫のなかで、最大規模の信用金庫です。

営業地域は、東京都全域と神奈川県の一部のエリアに対応しています。

手形債権や売掛債権の問題点を克服した金銭債権である「でんさい」も取り扱っています。

西武信用金庫

出典:西武信用金庫公式HP

信用金庫名 西武信用金庫
本店場所 東京都中野区中野2-29-10
預金残高 2兆2,738億円
振込手数料(ATM) 同行宛て:無料(現金、他行キャッシュカードによる振込は有料)

他行宛て:440円(5万円以上)

融資商品 西武コミュニティローン、新型コロナウイルスに伴う緊急支援融資、メンバーズビジネスローンなど

 

西武信用金庫は、東京都中野区に本店を構える信用金庫です。

「新型コロナウイルスに伴う緊急支援融資」をおこなっており、融資金額は最大で3,000万円です。

東京都や埼玉、神奈川が営業地区となり、融資や投資、クラウドファンディング、コンサルなどを取り扱っています。

さわやか信用金庫

出典:さわやか信用金庫公式HP

信用金庫名 さわやか信用金庫
本店場所 東京都港区三田5-21-5
預金残高 1兆5,821億円
振込手数料(ATM) 同行宛て:キャッシュカードを利用した当店宛ては無料

他行宛て:440円(5万円以上、キャッシュカードの場合)

融資商品 さわやかビジネスローン「クリーンローン」、(社)全日本不動産協会東京都本部新入会員様向け「創業支援ローン・チャレンジ」、さわやか・TKC中小企業会計活用ローンなど

 

さわやか信用金庫は、東京都を中心に神奈川県の一部まで営業対応している信用金庫です。

省エネ設備更新費用や環境対策費用に使える、さわやかビジネスローン「クリーンローン」という融資商品が特徴です。

発芽を表したシンボルマークは、地域社会・職員・信用金庫を表現しており、相互の協力と繁栄を象徴しています。

芝信用金庫

 

出典: 芝信用金庫公式HP

信用金庫名 芝信用金庫
本店場所 東京都港区新橋6-23-1
預金残高 1兆1,909億円
振込手数料(ATM) 同行宛て:220円(5万円以上)

他行宛て:440円(5万円以上)

融資商品 フリーローン「しばしんエール」、保証協会保証付融資、保証会社保証付ローンなど

芝信用金庫は、東京都港区に本店のある信用金庫です。

最高融資額1,000万円、融資期間最長10年の「しばしんエール」という融資商品があります。

東京都と神奈川に支店があり、経営や暮しの課題解決をサポートしています。

公式LINEアカウントもあり、お知らせやお客様教室などの情報を発信している点も特徴です。

世田谷信用金庫

出典: 世田谷信用金庫公式HP

信用金庫名 世田谷信用金庫
本店場所 世田谷区世田谷1-23-3
出資金 1,774百万円
振込手数料(ATM) 同行宛て:同一店内は無料

他行宛て:550円(出資会員でカード利用の場合は380円)

融資商品 フリーローン クイックノック、ビジネスクイックローン、せたしんフリーローン(多目的)など

世田谷信用金庫は、名前のとおり世田谷に本店があり、設立年が大正10年と歴史のある信用金庫です。

「ふれあいを大切に」をモットーにしており、令和3年4月12日に創立100年を迎えました。

営業地区は、東京都全域と神奈川県の一部のエリアに対応しています。

巣鴨信用金庫

出典:巣鴨信用金庫公式HP

信用金庫名 巣鴨信用金庫
本店場所 東京都豊島区巣鴨2-10-2
出資金 27億27百万
振込手数料(ATM) 同行宛て:「すがものカード」を利用すれば無料

他行宛て:550円(5万円以上)。出資会員は385円

事業支援 「S-biz」のコンサルティングサポート

巣鴨信用金庫は、東京都豊島区巣鴨に本店を構える信用金庫です。

特徴は、「S-biz」というコンサルティングサポートをおこなっていることです。

S-bizは、営業店と協力し地域の顧客の課題を共有して、課題の解決を目指します。

サポートを受けられるのは、営業地区の対応エリアのみです。

信用金庫でお金を借りる際は早めに準備を始めよう

この記事では、信用金庫の定義や銀行との違い、融資を利用する際の流れなどについて解説しました。

信用金庫は「信用金庫法」にもとづき運営している非営利法人です。

地域に住んでいる会員の相互扶助を目的として運営されており、融資を受けるには原則会員になる必要があります。

一方で、銀行は「銀行法」にもとづき運営している営利法人です。

株式会社組織であり株主の利益を目的として運営しています。

信用金庫の融資は借入をするまでに、2〜3ヶ月ほどの期間がかかります。

準備が遅れてしまうと、事業の開始が遅れるおそれもあるため、余裕をもって早めに準備を始めましょう。

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