「業績・財務の悪化で銀行融資の審査に落ちた…」
「リスケジュール中で銀行融資を受けられない…」
「緊急の資金調達が必要で銀行融資では間に合わない…」
そんな時に役立つのがビジネスローンです。
とはいえ、ビジネスローンの種類は様々で、審査のハードルや利便性、融資条件なども様々です。
借入先の候補になり得るビジネスローンの一つに「PayPay銀行ビジネスローン」があります。
この記事では、
- 最新の融資動向とビジネスローンの重要性
- PayPay銀行ビジネスローンの特徴
- PayPay銀行ビジネスローンと銀行融資の徹底比較
などを通して、PayPay銀行ビジネスローンを徹底解説します。
法人の資金調達事情
経営者の抱える仕事のうち、最も重要な仕事は資金繰りといっても過言ではないでしょう。
経営を続けるということは、資金繰りを回し続けることにほかなりません。
資金繰りに欠かせないのが、資金繰り計画と資金調達。
計画的に資金繰りすることでお金の流れが明確になり、将来的な資金不足も早期に把握できます。
そして、資金不足に対処するには資金調達が必要です。
ほとんどの法人にとって、銀行融資が資金調達の軸となります。
銀行融資は多額の資金を調達でき、金利も低いため他の資金調達方法よりも優れているのです。
しかしながら、銀行融資は審査のハードルが高く、審査に落ちた場合には資金を調達することはできません。
基本的には銀行融資を軸としつつも、銀行融資を受けられなかった場合に備えてビジネスローンなどの資金調達方法も確保しておくことが重要です。
融資動向を知る
そこでぜひ知っておきたいのが、銀行融資の動向です。
銀行は金融庁の監督を受けて営業しており、政府・日銀の方針に常に左右されます。
例えばコロナ禍に伴うセーフティネット保証のように、景気が悪化した局面では、政府の方針によって融資のハードルが大きく下がることもあるのです。
資金繰りを担う経営者は、大まかな融資動向を把握しておくだけでも資金調達の参考になります。
融資が出やすい時期には、積極的に融資を受けて手元資金を厚くする、これまで融資取引がなかった銀行から新規融資を受けるなど、積極姿勢で臨むべきでしょう。
逆に、融資が出にくくなっているならば、融資対策を普段よりも入念に行い、銀行融資以外の資金調達方法を確保することが大切です。
近年の融資動向
では、最近の融資動向はどのようになっているのでしょうか。
2017年から2022年の貸出金残高(期中平均)の推移をまとめてみました。
まず、全国と地方別の貸出金残高は以下の通りです。
(単位:億円) | ||||||||||
全国 | 北海道 | 東北 | 関東 | 北陸 | 中部 | 近畿 | 中国 | 四国 | 九州・沖縄 | |
2017 | 4,807,691 | 100,613 | 192,970 | 2,669,657 | 126,189 | 402,540 | 615,221 | 201,775 | 116,977 | 381,746 |
2018 | 4,944,922 | 102,573 | 198,412 | 2,752,760 | 129,919 | 408,263 | 627,693 | 210,790 | 120,554 | 393,955 |
2019 | 5,055,315 | 105,076 | 200,465 | 2,815,109 | 132,788 | 414,529 | 641,221 | 216,686 | 124,470 | 404,968 |
2020 | 5,336,229 | 110,915 | 206,960 | 2,959,947 | 137,622 | 467,396 | 671,323 | 226,473 | 130,052 | 425,539 |
2021 | 5,393,900 | 113,187 | 210,780 | 2,994,742 | 138,642 | 460,370 | 674,603 | 230,825 | 134,293 | 436,435 |
2022 | 5,522,468 | 112,898 | 214,357 | 3,077,566 | 139,051 | 469,389 | 689,923 | 236,679 | 139,059 | 443,544 |
さらに、貸出金残高の増減率をまとめると以下のようになります。
全国 | 北海道 | 東北 | 関東 | 北陸 | 中部 | 近畿 | 中国 | 四国 | 九州・沖縄 | |
2018 | 2.9% | 1.9% | 2.8% | 3.1% | 3.0% | 1.4% | 2.0% | 4.5% | 3.1% | 3.2% |
2019 | 2.2% | 2.4% | 1.0% | 2.3% | 2.2% | 1.5% | 2.2% | 2.8% | 3.2% | 2.8% |
2020 | 5.6% | 5.6% | 3.2% | 5.1% | 3.6% | 12.8% | 4.7% | 4.5% | 4.5% | 5.1% |
2021 | 1.1% | 2.0% | 1.8% | 1.2% | 0.7% | -1.5% | 0.5% | 1.9% | 3.3% | 2.6% |
2022 | 2.4% | -0.3% | 1.7% | 2.8% | 0.3% | 2.0% | 2.3% | 2.5% | 3.5% | 1.6% |
この表からいくつかのことが分かります。
まず、2020年に全国・地方ともに貸出金残高が大きく伸びていること。
全国平均で5.6%の伸び率になっており、中部地方では12.8%もの伸び率です。
しかし2021年、貸出金の増加は急速に鈍化しています。
これは、新型コロナウイルスに社会がある程度順応し、経済の立て直しに動き始めたためです。
もちろん融資も正常化に近づき、2020年に比べると融資が引き締められた印象があります。
このことが伸び率の鈍化によく表れており、2020年に10%以上の伸びを見せた中部地方に至っては貸出金残高が減少しています。
2022年、この傾向はやや持ち直しており、融資環境はコロナ前水準となりました。
しかしながら、ウクライナ問題をはじめ地政学リスクは依然として高く、予断を許さない状況です。
今後の動向次第では、融資環境が再び大きく変化する可能性があります。
資金調達方法の多様化とビジネスローン
最新の融資動向から分かるのが、資金調達方法を多様化することの重要性です。
元来、日本の中小企業は銀行融資への依存度が高いことが問題視されてきました。
銀行融資に依存している場合、会社の業績・財務の悪化、あるいは経済の変化に伴う融資環境の悪化により深刻な影響を受けます。
銀行から融資を断られると、たちまち資金繰りが行き詰ってしまうのです。
そうならないためには、平常時から銀行融資以外の資金調達方法を確保しておくことが大切です。
銀行融資以外の資金調達方法は色々ありますが、会社によって適している方法は異なります。
特に中小企業は、大企業に比べて資金調達の選択肢が少なくなるため、限られた方法の中で、できるだけ円滑に資金を調達する必要があります。
そこで役立つのが、ビジネスローンです。
ビジネスローンとは?
ビジネスローンとは、主に中小企業を対象とした事業性ローンの通称です。
ここまでの解説にある「銀行融資」も事業性の融資ですが、審査の厳しさや融資可能額、担保・保証の位置づけなどが大きく異なります。いわゆるプロパー融資をイメージすると良いでしょう。
ビジネスローンは銀行融資よりも感覚的にライトな融資ですから、小規模事業者や個人事業主でも資金を調達しやすい方法です。
銀行融資は多額の資金を取り扱うため、借入先は都市銀行や地方銀行、信用金庫などの金融機関に限られます。
これに対し、ビジネスローンは数十万円~数百万円の少額融資が基本です。
したがって、銀行だけではなく信販会社や消費者金融業者などの貸金業者もビジネスローンを取り扱っています。
一般的に、銀行のビジネスローンは信販会社・消費者金融業者のビジネスローンよりも審査が厳しい傾向があります。
銀行のビジネスローンは敷居が高いと感じ、好んで消費者金融業者系のビジネスローンを利用する人も少なくありません。
しかし、この記事で取り上げるPayPay銀行ビジネスローンのように、最近はネット銀行のビジネスローンも増えてきました。
これにより、銀行系ビジネスローンの敷居も下がってきています。
ビジネスローンの特徴
ただし、ビジネスローンは資金調達の軸になる方法ではありません。
銀行融資は低金利で多額の資金調達ができるのに対し、ビジネスローンは高金利で少額の資金調達が基本です。
銀行融資が受けられる状況で、あえてビジネスローンを使う必要はないのです。
あくまでも、ビジネスローンは銀行融資の次善策として考えます。
逆に言えば、銀行融資を受けられない会社にとってビジネスローンは非常に役立つ方法です。
銀行融資を受けられずにビジネスローンを利用する場合、その会社は銀行から「信用力に問題あり、融資不可」と判断されたことを意味します。
当然ながら、銀行よりも審査のハードルを下げなければ成り立ちません。
したがって、ビジネスローンは銀行融資よりも審査のハードルを下げ、借入条件の設定によってリスクヘッジを図ります。
つまり、ビジネスローンと銀行融資の違いを決定づける特徴は以下の2点です。
- ビジネスローンは銀行融資よりも審査に通りやすい
- ビジネスローンは銀行融資よりも金利が高い
もちろん、このほかにも色々な違いがありますが、基本的にはこの2点に集約されるでしょう。
メリット・デメリットを含む細かな特徴については、「PayPay銀行ビジネスローンと銀行融資の比較」として後述します。
PayPay銀行ビジネスローンの基本情報
上記の通り、ビジネスローンの提供元は銀行や信販会社、消費者金融業者など様々です。
取引している銀行がビジネスローンを取り扱っている場合も多いでしょう。
知名度の高い信販会社もビジネスローンを取り扱っていることが多く、もちろん消費者金融系のビジネスローンも色々あります。
このため、どのビジネスローンを選ぶかが悩みどころです。
ビジネスローンを活用する際には、複数(一般的に2~3社)に申し込むのが基本となります。
そのうちの1社として、ネット銀行系のビジネスローンを検討するのも一つの手です。
ネット銀行系のビジネスローンには、例えばPayPay銀行のビジネスローンがあります。
PayPay銀行ビジネスローンとは?
QRコード決済の「PayPay」は、多くの人が知っていることでしょう。
PayPayは、ソフトバンクとZホールディングスの合弁会社・PayPay株式会社が提供するサービスです。
Zホールディングスでは、このほかにPayPayブランドの金融サービスを複数手掛けており、PayPay銀行もそのひとつです。
PayPay銀行が誕生したのは2021年4月5日。
Zホールディングスと三井住友銀行のグループ会社であったジャパンネット銀行が、商号を変更してPayPay銀行になりました。
そして、PayPay銀行が取り扱っているビジネスローンが「PayPay銀行ビジネスローン」です。
(出典:PayPay銀行公式HP)
PayPay銀行のジネスローンは3種
現在、PayPay銀行が取り扱っているビジネスローンは以下の3種です。
- 法人向けビジネスローン
- 個人事業主向けビジネスローン
- ヤフー出店者専用ビジネスローン
特徴的なのは、ヤフー出店者専用のビジネスローン。
これは、Yahoo!ショッピングやヤフオク!ストア向けのビジネスローンです。
PayPay銀行はZホールディングスの連結子会社であり、Zホールディングスはソフトバンクグループの傘下企業です。
このため、PayPay銀行はソフトバンク系列のサービスと紐づけたビジネスローンも取り扱っています。
このほか、以前はクラウド型会計ソフトfreee会員専用のビジネスローンも提供していましたが、こちらは2021年1月29日を以て受け付けを停止しています。
なお、この記事で取り上げるのは法人向けのPayPay銀行ビジネスローンです。
以下、単に「PayPay銀行ビジネスローン」と表記する場合、全て法人向けと考えてください。
PayPay銀行ビジネスローンの特徴
PayPay銀行の前身であるジャパンネット銀行はネット銀行の先駆けであり、ネット銀行ならではの便利なサービスを多数手がけていました。
ジャパンネット銀行の頃からビジネスローンを提供しており、PayPay銀行でもそれを引き継いでいます。
PayPay銀行ビジネスローンの公式サイトでは、以下の5つを特徴として挙げています。
- 金利は1.8%~13.8%
- 利用限度額は最大500万円
- 来店不要
- 担保・保証人不要
- 事務手数料無料
(出典:PayPay銀行公式HP)
ここに書かれていない特徴も含め、PayPay銀行ビジネスローンの特徴を見ていきましょう。
金利が安い
PayPay銀行ビジネスローンの金利設定は年利1.8%~13.8%。
これはビジネスローンの中でもかなり低い水準です。
他のビジネスローンといくつか比較してみましょう。
アイフルビジネスファイナンス:3.1%~18.0%
オリックス・クレジット「VIPローンカードBUSINESS」:6.0%~17.8%
東京スター銀行「スタークイックビジネスローン」:4.5%~14.5%
ニチデン「事業者ローン」:4.8%~17.52%
このように比較してみると、PayPay銀行ビジネスローンの金利の安さがよく分かります。
オンラインで簡単に手続きできる
PayPay銀行ビジネスローンの最大の特徴は、手続きをネットで完結できることです。
銀行融資はもとより、ビジネスローンを利用する際には窓口への来店や、書類の郵送が必要になるケースが少なくありません。
しかしPayPay銀行ビジネスローンは、申し込みから契約まで全てネットで手続きできます。
ジャパンネット銀行の頃から、ネット専業銀行の強みを活かしたビジネスローンに取り組んでおり、そのノウハウをPayPay銀行ビジネスローンでも引き継いでいるのです。
申し込みから資金調達までの流れは以下の4ステップです。
(出典:PayPay銀行公式HP)
ビジネスローンには簡単に手続きできるものが多いですが、その中でもPayPay銀行ビジネスローンは特に簡単といえるでしょう。
提出書類も少ない
提出書類も非常にシンプルです。
申し込みの際には書類提出は原則不要、審査の際に必要に応じて以下の書類を提出します。
- 事業実態の確認できる書類
- 所得証明書類
- 永住権または特別永住権を確認できる資料
- 古物商許可証
- 直近2年分の決算書
取得に手間のかかる資料が含まれていないため、簡単に揃えることができます。
限度額は低め
PayPay銀行ビジネスローンの利用限度額は500万円です。
他社のビジネスローンでは利用限度を1000万円以上に設定していることも多いため、500万円の設定は低めといえます。
いくつか、他のビジネスローンの利用限度額と比較してみましょう。
アイフルビジネスファイナンス:1000万円
オリックス・クレジット「VIPローンカードBUSINESS」:500万円
東京スター銀行「スタークイックビジネスローン」:1000万円
ニチデン「事業者ローン」:1億円
中小企業といっても事業規模は様々で、年商数億円の法人もあれば、年商数千万円の法人もあります。
年商が大きくなるほど資金需要は大きくなり、数百万円の資金調達では間に合わないケースも増えてきます。
したがって、PayPay銀行ビジネスローンは比較的小規模な法人に向いているといえます。
スピーディに資金調達できる
資金調達で重要となるのが資金調達スピード。
PayPay銀行ビジネスローンは資金調達スピードにも優れています。
公式サイトによると、PayPay銀行ビジネスローンは最短翌営業日での資金調達が可能です。
PayPay銀行ビジネスローンの公式サイトでは、以下のように説明しています。
【ビジネスアカウントをお持ちのお客さま】
お申込後、最短で翌営業日にご利用いただけます。ただし、代表者様の連帯保証が必要な場合は、契約手続に日数がかかることもあります。お手続方法は当社よりご連絡します。
【ビジネスアカウントをお持ちでないお客さま】
お申込後、ビジネスアカウント開設が必要です。お申し込みからご入金まで口座開設期間を含め最短5営業日程度必要です。
(出典:PayPay銀行「よくある質問」)
ここにある通り、資金調達スピードを左右するのは「ビジネスアカウント」です。
ビジネスアカウントとは、PayPay銀行の法人口座のことです。
法人向けのビジネスローンを利用する場合、PayPay銀行の法人口座が必須となります。
すでにビジネスアカウントを持っている法人は、最短で申し込みの翌営業日に資金調達可能です。
ビジネスアカウントを持っていない場合、口座開設のために郵送手続きが必要となるため、3日~10日程度を要します。
(出典:PayPay銀行公式HP)
いざというときのために、あらかじめビジネスアカウントを取得しておくとよいでしょう。
無担保・無保証
PayPay銀行ビジネスローンは、担保・保証が不要です。
このため、担保や保証に問題を抱えている法人でも問題なく利用できます。
ただし、ここでいう「保証人不要」は「第三者保証人不要」の意味であり、法人代表者の連帯保証が必要となる点には注意が必要です。
資金使途は自由
PayPay銀行ビジネスローンは、事業資金であれば資金使途は自由です。
運転資金や設備資金など、必要に応じて利用できます。
また、PayPay銀行ビジネスローンは限度額の範囲内で自由に借り入れる仕組みです。
急な受注による増加運転資金や、貸し倒れによる赤字補填資金なども柔軟に調達できます。
これにより、資金ショートの危険を遠ざけることができ、資金繰りの安定性が高まります。
業歴が短くても借りやすい
PayPay銀行ビジネスローンは、業歴2年以上、または決算を2期終了している法人を対象としています。
業歴が短い法人は信用が低く、銀行融資などでは大きな悪材料になるのですが、PayPay銀行ビジネスローンならばさほど問題ありません。
個人事業主から法人成りした場合、個人事業主の業歴を通算するため、利用のハードルはさらに低くなります。
返済計画を立てやすい
PayPay銀行ビジネスローンの返済は元利均等方式で、借入金の残高に応じて毎月一定額を返済します。
毎月の返済額が明確なため資金繰り計画に織り込みやすく、また返済額は月々1~10万円のため、資金繰り負担も軽微です。
(出典:PayPay銀行公式HP)
このほか、繰り上げ返済への対応も柔軟であり、繰り上げ返済手数料も一切かからないため資金繰り状況に合わせて柔軟に活用できます。
PayPay銀行ビジネスローンと銀行融資を徹底比較
銀行融資の代替手段としてPayPay銀行ビジネスローンを利用する是非、また適切な使い分けを知るためには、それぞれの特徴を比較する必要があります。
ここでは、PayPay銀行ビジネスローンと銀行融資を7つのポイントで比較してみましょう。
1.申し込みのハードルを比較
まず、申し込むハードルから比較してみます。
PayPay銀行ビジネスローン
上記の特徴でも紹介した通り、PayPay銀行ビジネスローンは簡単に申し込むことができます。
ネットから申し込むことができ、申し込み段階では書類の提出も不要です。
ビジネスアカウントを作成するために、PayPay銀行で法人口座を解説するのが唯一のハードルですが、銀行融資でも口座開設は必須です。
銀行融資
銀行融資は申し込み段階で色々なハードルがあります。
特にこれまで取引のない銀行に融資を申し込む場合、まずは銀行に相談しなければなりません。
PayPay銀行ビジネスローンのようにネットで申し込むだけではなく、融資担当者との面談、申込書類の作成・提出が必要です。
担保や保証の有無により申し込み手続きが煩雑になることもあります。
申し込み段階で揃えておくべき書類も多く、例えば返済計画や資金繰り計画、設備投資資金の場合には見積書や投資計画書などを提出するのが一般的です。
もちろん、融資担当者に質問されることも多く、経営者自身が事業内容・資金繰りを把握しておかなければ門前払いに近い扱いを受けることも珍しくありません。
結論:PayPay銀行ビジネスローンの方が申し込みやすい
申し込みのハードルは、銀行融資よりもPayPay銀行ビジネスローンの方が圧倒的に低いです。
これは他のビジネスローンにも言えることですが、PayPay銀行はジャパンネット銀行の仕組みを引き継いでいるだけに、申し込みの簡便性では特に優れています。
2.審査のハードルを比較
銀行融資が受けられずにPayPay銀行ビジネスローンを利用する場合、最大の関心事は審査のハードル。
これも比較してみましょう。
PayPay銀行ビジネスローン
ビジネスローンを取り扱っているのは、銀行・信販会社・消費者金融業者の3つです。
審査のハードルが高い順に並べると「銀行>信販会社>消費者金融業者」となります。
審査への通りやすさを重視するならば、消費者金融業者のビジネスローンを選びたいところ。
PayPay銀行ビジネスローンは、銀行系のビジネスローンの中でも特に審査のハードルが低いです。
というのも、保証業務を消費者金融業者のアイフルに委託しているためです。
PayPay銀行ビジネスローンで融資を受けた会社が返済不能に陥った場合には、アイフルが弁済します。
アイフルが貸し倒れリスクを負担するため、ビジネスローンの審査もPayPay銀行ではなくアイフルが担当しているのです。
PayPay銀行ビジネスローンの融資審査は、実質的にアイフルの保証審査として行われると考えるのが分かりやすいでしょう。
したがって、PayPay銀行ビジネスローンは銀行系でありながら、審査基準が消費者金融系のビジネスローンに近く、審査のハードルも低めと考えられます。
ただし、一点だけ注意が必要です。
それは、PayPay銀行ビジネスローンとアイフルビジネスファイナンスのビジネスローンを併用しないこと。
アイフルビジネスファイナンスの審査に落ちた会社であれば、PayPay銀行ビジネスローンの審査にも落ちる可能性が極めて高いです(逆の場合も同様です)。
銀行融資
銀行の融資審査が厳しいことは言わずもがなです。
銀行の融資担当者は審査能力が非常に高く、様々な提出書類から貸し倒れリスクを厳しく判断します。
判断材料は、融資先の業績・財務、資金使途、融資形態、融資条件、保全(担保・保証の充足)、他行の動向、資金調達余力、取引振り(融資外取引の状況)、融資取引の狙い(銀行側のメリット)など多岐にわたります。
また、銀行では融資稟議を行うため、融資担当者の判断だけで融資の可否が決まるわけではありません。
融資希望額が大きい場合、支店長決済の後に本部決済を仰ぐ必要があり、審査のハードルは一層高まります。
結論:PayPay銀行ビジネスローンの方が審査に通りやすい
以上のように比較すると、PayPay銀行ビジネスローンの方が審査に通りやすいことは明らかです。
上記に挙げた銀行の判断材料のうち、PayPay銀行ビジネスローンで考慮するのは融資先の業績・財務くらいのものでしょう。
消費者金融業者のアイフルが審査を担当していることも、評価のポイントです。
3.融資限度額を比較
資金調達の目的は、不足資金を調達し、資金ショートを回避することにあります。
資金繰りに十分な現金を調達できなければ、資金調達方法としての意義はほとんど失われてしまいます。
したがって、融資限度額も重要な比較のポイントです。
PayPay銀行ビジネスローン
既にお伝えした通り、PayPay銀行ビジネスローンの融資限度額は500万円です。
審査の結果に応じて、500万円の範囲内で融資枠が設定されます。
その後は、PayPay銀行ビジネスローンの会員ページから借り入れ手続きをすれば、PayPay銀行の法人口座に借入金が入金される仕組みです。
注目すべきは、「500万円の範囲内で融資枠を設定」という点です。
500万円の融資が受けられるわけではなく、融資枠が50万円や100万円などに設定されることもあります。
特に、PayPay銀行ビジネスローンを初めて利用する会社は、最初から高額の融資枠が設定される可能性は低いです。
これはビジネスローン全般に言えることですが、初回利用であれば1社から借りられる金額の150万円が目安となります。
それ以上の資金を必要とする場合、複数社(2~3社)に申し込んで300万円といったイメージが妥当でしょう。
利用のポイントは、たとえ融資枠が少額でも契約することです。
PayPay銀行ビジネスローンは、利用実績・返済実績によって融資枠が次第に増枠されるため、契約しておいて損はありません。
銀行融資
銀行は、融資限度枠を特に定めていません。
もちろん、「融資先の返済力次第」という意味では限度額があるのですが、「返済できるならばいくらでも貸す」とも言えます。
銀行融資はビジネスローンに比べて金利が低いため、融資額に対する利息収入は微々たるものです。
したがって、貸せるだけ貸したいというのが本音です。
結論:多額の資金調達は銀行へ
会社の経営が好調でも、PayPay銀行ビジネスローンで調達できるのは500万円が限界です。
これに対し、銀行融資は数千万円、数億円といった多額の融資にも対応しています。
多額の資金調達を希望する場合には、PayPay銀行ビジネスローンでの調達は現実的ではありません。
銀行融資を受けられない会社は、PayPay銀行ビジネスローンの少額融資で資金繰りをつなぎ、徐々に銀行融資を受けられる状況へと立て直していきましょう。
4.資金調達スピードを比較
資金ショートの危機が迫っている時、いかにスピーディに資金調達できるかが重要です。
PayPay銀行ビジネスローン
スピーディに資金調達できることは、ビジネスローンの大きなメリットです。
PayPay銀行ビジネスローンも資金調達スピードに優れています。
ビジネスローンを取り扱っているのは銀行・信販会社・消費者金融業者ですが、それぞれ資金調達スピードが異なります。
スピードが速い順に並べると「消費者金融系>信販系>銀行系」で、早ければ最短即日、遅ければ1週間程度というイメージです。
PayPay銀行ビジネスローンの資金調達スピードは、最短翌営業日~5営業日程度。
これは、ビジネスローンとしてはごく一般的な水準でしょう。
消費者金融系のように最短即日で資金調達することはできませんが、銀行系のように1週間程度を要することもありません。
ビジネスアカウントの有無によって資金調達スピードが左右されるため、初めて利用する人は5営業日程度を見積もっておくべきでしょう。
銀行融資
銀行融資は、とにかく時間がかかります。
普通、融資実行までの目安は2週間~1ヶ月程度といわれますが、これはあまりあてになりません。
確かに2週間程度で融資を受けられるケースもありますが、これは優良企業に限られます。
具体的には、業績・財務ともに良好、取引振りも良好、他行との競合を意識して銀行の方からプロパー融資を提案しているといったケースです。
このような会社はごく一部であり、ましてやビジネスローンを検討する段階であればほぼ不可能でしょう。
したがって、1ヶ月程度は要すると考えるのが妥当です。
結論:緊急の資金調達にはPayPay銀行ビジネスローンを
例えば1週間後に支払いが迫っているなど、緊急性が高いほど銀行融資は役に立ちません。
審査を待っているうちに支払期日が到来し、資金ショートに陥ります。
それなりに経営が良好であれば銀行融資を考えるかもしれませんが、このような場合には資金ショートを回避することが最優先です。
数日で資金調達できるPayPay銀行ビジネスローンを利用ならば、緊急の資金調達に役立ちます。
5.金利を比較
資金調達の際には調達コストを意識すべきです。
資金繰りの負担を軽減するためにも、できるだけ調達コストが安い方法を選ぶ必要があります。
銀行融資・ビジネスローンにかかる調達コストは利息ですから、金利が安ければ安いほど望ましいといえます。
銀行融資とPayPay銀行ビジネスローンの金利を比較してみましょう。
PayPay銀行ビジネスローン
PayPay銀行ビジネスローンの金利は1.8%~13.8%。
他のビジネスローンに比べると安いものの、やはり他の資金調達方法に比べると高い水準です。
ビジネスローン全般に言えることですが、下限値付近での借入れは基本的に不可能と考えてください。
これは、ビジネスローンというものの性質上、やむを得ないことです。
ビジネスローンを利用する会社のほとんどは、銀行融資を受けられない状況で利用します。
そのような会社に対して、例えば年利1.8%といった銀行融資と同程度の金利で融資することは不可能なのです。
優良企業が何らかの事情(緊急の資金調達のため銀行融資が利用できないなど)で利用する場合を除き、下限値は参考になりません。
PayPay銀行ビジネスローンでも、基本的には上限値付近の金利になると考えてください。
銀行融資
銀行融資の金利は、融資先の経営状況や融資形態、担保・保証の設定によって変わります。
経営が良好で保全も充足している会社は年利1%前後で借り入れることも可能ですが、そうでない場合には概ね年利2%前後、少々問題があれば年利2~3%程度のイメージです。
これに加えて、保証付融資を受ける場合には信用保証協会に対して保証料を支払います。
保証料率は経営状況によって変動しますが、中央値は1.5%。
保証料を考慮しても、銀行融資の調達コストは安いといえます。
結論:安いのは銀行融資
数ある資金調達方法の中でも、銀行融資の調達コストは極めて安いです。
これに対して、ビジネスローンの調達コストは高い部類に入ります。
300万円を調達するケースで簡単に比較してみると、以下のようになります。
(PayPay銀行ビジネスローンの返済条件に合わせるため、どちらも借入期間を3年6ヶ月と仮定)
PayPay銀行ビジネスローン:借入金利10%、月々の返済額85,000円、支払総額3,567,494円、内利息567,494円
銀行融資:借入金利2%、月々の返済額74,017円、支払総額3,108,714円、内利息108,714円
同額・同期間の融資を受けた結果、支払利息には約46万円の差が生じるのです。
この通り、金利だけを比較すれば銀行融資の方が圧倒的に優れています。
6.担保・保証を比較
資金調達のカギになるのが担保・保証です。
この点についても比較してみましょう。
PayPay銀行ビジネスローン
PayPay銀行ビジネスローンは、無担保・無保証で利用できます。
不動産や売掛債権などの担保は一切不要、加えて第三者の連帯保証も不要です。
ビジネスローンの中には不動産担保を活用したものもあります。
不動産担保専門のビジネスローンは、担保価値を銀行よりも高く評価してくれることもあり、それなりに使い道があります。
しかしPayPay銀行ビジネスローンは担保付きのビジネスローンを取り扱っていないため、担保を持っている法人でも「無担保一択」と考えてください。
保証人については、第三者の連帯保証が不要であるものの、代表者の個人保証は必須となっています。
これは、代表者の個人信用情報が審査に影響するということです。
PayPay銀行ビジネスローンは事業性のローンですから、審査の大部分は事業性(経営状況や返済能力)によって判断されます。
しかしながら、保証人となる代表者が過去に金融事故を起こしている場合、保証力が無いとみなされて審査に落ちる可能性が高いです。
特に、PayPay銀行ビジネスローンの審査を担うのはアイフルですから、代表者が過去にアイフルに対して金融事故(カードローンを滞納しているなど)を起こしているならば、審査に通ることは難しいでしょう。
銀行融資
銀行融資では担保・保証が重要となります。
銀行融資は、会社が事業から生み出す利益によって返済するのが原則です。
しかしながら、審査の時点では業績に問題がなかったとしても、融資後に業績が悪化し、返済原資を確保できなくなるケースもあります。
それに備えるのが不動産担保などの保全です。
保全には色々ありますが、代表的なものは会社が所有する不動産や、経営者の自宅などの物的担保です。
物的担保による保全が困難な場合、信用保証協会の保証が必要となります。
ただし、信用保証協会の保証枠は無担保で8000万円が上限です。
また、必ずしも8000万円の保証枠が適用されるわけではなく、実際の保証枠は月商の3ヶ月分を上限とします。
したがって銀行融資では、担保余力の不足、あるいは保証枠の不足によって資金調達できないケースが少なくありません。
結論:担保・保証に困ったらPayPay銀行ビジネスローンを
銀行融資は担保・保証が重要、PayPay銀行ビジネスローンは無担保・無保証。
もし担保・保証に余力があるならば、PayPay銀行ビジネスローンよりも銀行融資を優先すべきです。
銀行融資が困難場合には、不動産担保専門のビジネスローンを検討してみてください。
担保・保証が不足している会社は、PayPay銀行ビジネスローンでの資金調達を検討しましょう。
7.融資環境への影響を比較
すでに述べた通り、会社の資金繰りは銀行融資が基本であり、ビジネスローンはイレギュラーな資金調達方法です。
イレギュラーな資金調達に役立つのがビジネスローンのメリットであり、平常時に利用してもこのメリットは期待できません。
軸となる銀行融資にどのような影響を与えるか、これは資金調達の際に特に留意すべき点です。
最後に、銀行融資とPayPay銀行ビジネスローンが、それぞれ融資環境にどのような影響を及ぼすかを比較しましょう。
PayPay銀行ビジネスローン
PayPay銀行ビジネスローンをはじめ、ビジネスローンは全て融資環境の悪化につながります。
というのも、銀行はビジネスローンからの借入を嫌うからです。
銀行に融資を申し込む際には色々な書類を提出しますが、その一つに勘定科目内訳明細書があります。
ここには借入金及び支払利子の内訳書が含まれ、借入先・期末残高・利率・借入理由・担保などを表記しなければなりません。
つまり、PayPay銀行ビジネスローンで資金調達した場合、銀行はその詳細を内訳書によって把握するということです。
この時、銀行は「ビジネスローンから借り入れている事実」を以て大幅なマイナス評価を行います。
つまり、ビジネスローンでなければ資金調達できなかった事実、おそらく他行から融資を断られた事実を重視するわけです。
他行から融資を断られている場合、他行が「貸し倒れリスクが高い」と判断したわけですから、他の銀行も積極的に融資することは困難です。
緊急の資金調達にPayPay銀行ビジネスローンを利用した場合にも、やはり悪影響は避けられません。
資金繰り計画がずさんであること、経営能力の低さを疑われるからです。
このように、ビジネスローンを利用すると融資環境は確実に悪化します。
銀行融資
銀行融資は、融資環境にプラスの影響を与える場合と、マイナスの影響を与える場合があります。
この分れ目は、借入れの理由です。
経営に大きな問題を抱えていなければ、基本的にはプラスの影響が期待できます。
例えば業績が着実に伸びており、増加運転資金や設備投資資金として銀行融資を受ける場合、これは融資環境にプラスです。
銀行としては、今後もその会社が成長し、より多くの融資を出したり、融資外の取引を増やしたりすることで利益につながります。
複数の銀行が積極姿勢であれば、銀行間での競合も発生し、融資環境はさらに良くなるでしょう。
実際の融資稟議でも「他行動向」を重視し、他行の積極支援を好材料とみなします。
しかし、赤字補填資金などの後ろ向き資金を借り入れる場合、融資環境の悪化につながります。
この場合、貸し倒れリスクが高まっているわけですから、銀行は融資に消極的です。
融資を受けた会社では、自己資本比率の低下や有利子負債比率の上昇を招きます。
銀行が積極支援すべき理由があれば良いのですが、さしたる好材料もなく、なおかつ財務指標が悪化しているとなれば、融資環境にも悪影響は避けられません。
結論:融資環境の悪化を防ぐには銀行融資を
融資環境への悪影響を考えると、ビジネスローンはできるだけ避けるべきです。
銀行融資を受けられない場合には、資金繰りを維持するためにビジネスローンが役立ちます。
しかしながら、銀行融資を利用できるならば、あえてビジネスローンを利用する必要はありません。
また、やむを得ずPayPay銀行ビジネスローンを利用するとしても、銀行融資への影響を十分に考慮し、計画的な利用を心掛けてください。
まとめ
PayPay銀行ビジネスローンついて詳しく解説しました。
PayPay銀行ビジネスローンは、金利や審査、利便性などの点で他のビジネスローンよりも優れています。
このことは、銀行融資との比較によっても明らかです。