大手消費者金融業者のアイフルでは、事業者向けに様々な金融サービスを提供しています。
一般的なビジネスローンだけではなく、売掛債権を活用した資金調達も可能です。
サービスの種類が豊富なため、違いや特徴が分かりづらいと感じる人も多いのではないでしょうか。
そこで本稿では、アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローン、売掛債権担保融資(ABL)、売掛債権ファクタリングについて、それぞれの基本情報からメリット、注意点まで徹底解説します。
アイフルビジネスファイナンスについて
事業者の資金繰りにおいて、資金調達の軸になるのが銀行の事業性融資です。
一般的に「銀行融資」といいますが、融資を行うスキームは商品によって異なり、無担保・無保証のプロパー融資のほかにも、不動産担保融資、信用保証協会保証付融資などがよく知られています。
銀行から融資を受けられない場合に利用するのがビジネスローンです。
銀行が無担保・少額のビジネスローンを提供しているほか、消費者金融業者もビジネスローンの名で事業用ローンを取り扱っています。
消費者金融業者の中でも大手として有名なのがプロミス、アコム、アイフルなどです。
このうち、プロミスは三井住友フィナンシャルグループ系列のサービスであり、アコム株式会社は三菱UFJフィナンシャルグループの子会社です。
これに対し、アイフルは金融機関の傘下ではなく、アイフルグループとして独立しています。
アイフルといえば個人向けの無担保ローンで有名ですが、これはアイフル株式会社のサービスです。
事業者向けのサービスは、アイフルビジネスファイナンス株式会社(以下、アイフルビジネスファイナンス)が取り扱っています。
(出典:アイフルビジネスファイナンス㈱公式HP)
アイフルビジネスファイナンスでは、事業者向けビジネスローンのほかにも様々な商品を取り揃えています。
(出典:アイフルビジネスファイナンス㈱公式HP)
本稿で取り上げるのは、ここにあるアイフルビジネスファイナンスのサービスのうち以下の3つです。
- 事業者向けビジネスローン
- 売掛債権担保融資(ABL)
- 売掛債権ファクタリング
事業者向けビジネスローン
まずご紹介するのは、アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローンです。
(出典:アイフルビジネスファイナンス㈱公式HP)
事業者向けビジネスローンとは?
ビジネスローンは事業性融資の一種であり、一般的な銀行融資とは異なります。
アイフルビジネスファイナンでも、以下のような特徴があります。
- 銀行融資とは異なる方法で審査すること
- 無担保で融資を受けられること
- スピーディに資金調達できること
- 金利が高いこと
事業者向けビジネスローンの特徴
アイフルビジネスファイナンスは、事業者向けビジネスローンの特徴を以下のように説明しています。
事業拡大・決算時などのまとまった事業資金のニーズに、一時的なつなぎ資金など資金繰りに、ご好評いただいているビジネスローン。
ここにある通り、アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローンは様々な資金使途に利用できるサービスです。
一定の融資枠を設け、必要に応じて借り入れる「カードローン」とは異なり、必要な資金を一度に借入れて返済していく仕組みです。
もちろん、このほかにも色々な特徴があります。
詳しい特徴は、事業者向けビジネスローンのメリット・注意点として紹介します。
事業者向けビジネスローンの流れ
アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローンの利用の流れは、公式HPによると以下の通りです。
(出典:アイフルビジネスファイナンス㈱公式HP)
流れの3で提出する書類は、法人と個人事業主で異なります。
法人の場合には、代表者の本人確認書類と決算書の2点、個人事業主の場合には本人確認書類・確定申告書・事業内容確認書の3点です。
その他、必要に応じて書類を求められることがありますが、基本的には手元の書類だけで申し込むことができます。
事業者向けビジネスローンのメリット
アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローンには多くの特徴があります。
それらの特徴のうち、メリットにつながるものをピックアップしていきましょう。
銀行融資よりも審査に通りやすい
審査難易度の低さは、ビジネスローンの最大の特徴でありメリットです。
これは大抵のビジネスローンに共通する特徴・メリットで、アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローンも例外ではありません。
銀行融資よりも審査に通りやすい理由は、事業者向けビジネスローンの意義を考えるとよく分かります。
大抵の場合、事業者向けビジネスローンを利用するのは経営に何らかの問題を抱えている会社です。
業績・財務が悪化している、業歴が短い、リスケジュール中であるなど、様々な理由によって銀行融資を受けられない場合に利用するのです。
そもそも、銀行から「経営に問題あり」「貸し倒れリスクが高い」と判断されているわけですから、アイフルビジネスファイナンスとしてもこの事実を踏まえて審査しなければなりません。
当然、銀行融資と同じ基準で審査すれば融資できないため、銀行融資よりも甘い独自の基準を用いることとなります。
この点について、アイフルビジネスファイナンスの公式HPには以下のように記載されています。
Q、赤字決算でも可能ですか?
A、過去の財務内容だけでなく現状のご商売に鑑み融資実行の可能性を検討してまいります。営業担当までお気軽にご相談ください。 (出典:アイフルビジネスファイナンス「よくある質問」) |
銀行融資では、過去の財務内容を極めて重く見るため、決算内容に問題があれば融資を受けるのは困難です。
しかし、アイフルビジネスファイナンスでは赤字決算でも融資を受けられる可能性があります。
これをみても、事業者向けビジネスローンが銀行融資よりも審査に通りやすいことが分かるでしょう。
担保は不要
多くのビジネスローンは無担保で利用できます。
アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローンも担保は不要です。
銀行融資を受けられない会社では担保が不足しているケースが多いため、担保不要で融資を受けられることは大きなメリットといえるでしょう。
もし不動産などの担保があり、なおかつ銀行融資を受けられない場合には、通常のビジネスローンではなく不動産担保に特化したビジネスローンがおすすめです。
不動産担保ビジネスローンは、不動産の担保評価を銀行より高く見積もってくれることがあるのです。
銀行融資では時価の70%程度で評価するのが一般的ですが、不動産担保ビジネスローンでは90~100%といった高い評価が出ることもあります。
なお、この記事では取り上げませんが、アイフルビジネスファイナンスでも不動産担保ビジネスローンを提供しています。
資金使途は自由
事業者向けビジネスローンは、資金使途を問いません。
もちろん事業用ローンですから、設備投資やつなぎ資金などの事業資金であれば資金使途は自由という意味です。
これも、ビジネスローンの一般的な特徴でありメリットです。
銀行融資では資金使途を重視します。
なぜならば、貸付金の返済原資は原則として事業から得られる利益に限るためです。
融資した資金を事業に活用できなければ利益も生まれず、延いては返済にも問題が生じます。
だからこそ、銀行は資金使途に納得できなければ融資しません。
資金使途を納得してもらうには、事業計画書や投資計画書によって説明することも重要です。
事業者向けビジネスローンは資金使途が自由ですから、資金使途がさほど明確でなくとも融資でき、資金使途を説明する手間もいりません。
最短即日で資金調達できる
ビジネスローンは、おしなべて資金調達スピードに優れています。
銀行系のビジネスローンには少々時間を要するものがありますが、消費者金融系のビジネスローンはスピーディに資金調達できるものが多いです。
アイフルビジネスファイナンスも消費者金融系のため、最短即日融資に対応しています。
スピーディに融資できるのは、独自の審査基準を設けていることに加えて、契約にあたって来店が必須ではないためです。
来店が必須の場合、アイフルビジネスファイナンスと利用会社の間でスケジュールを調整する必要があり、時として契約に時間がかかります。
来店が不要となれば、それだけ即日融資の可能性も高まるというわけです。
「突発的な資金需要が発生した」「資金ショートの危険が迫っている」といったシーンでは、銀行融資は不向きです。
そのような場合には事業者向けビジネスローンが役立ちます。
個人事業主でも利用可能
ビジネスローンは、業者ごとに融資対象者が異なります。
法人・個人事業主の両方を対象とするサービスもあれば、法人のみ、あるいは個人事業主のみといったビジネスローンもあるのです。
アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローンは、法人と個人事業主の両方に対応しています。
これもひとつの特徴といえるでしょう。
返済方式は2種類
アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローンでは、返済方式を「元利均等返済」と「元金一括返済」から選ぶことができます。
元利均等返済は、月々の支払い(元金+利息)が一定となるため、返済計画を立てやすいのがメリットです。
また、返済期間は最長5年(60回以内)ですから、月々の負担を圧縮することもできます。
元金一括返済は、借入から1年以内に元金を一括返済する方式です。
返済期日までは元金を返済する必要がなく、月々の支払いは利息だけです。
月々の返済負担は元利均等方式よりもさらに軽くなるため、短期的な資金繰りを目的とする場合に役立ちます。
元金一括返済が役立つのは、例えば助成金の受給を目指す場合です。
助成金を受給するには、事前に一定の取り組みを実施し、受給要件を満たす必要があります。
このため、助成金を受給するまでに様々なコストが先行します。
1年以内の取り組みで受給できるならば、元金一括返済方式で借入れて先行コストの問題を解消し、やがて助成金を受給したところで元金を一括返済する、といった利用が可能です。
事業者向けビジネスローンの注意点
以上のように、アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローンには様々なメリットがあります。
しかし、いくつか注意すべき特徴があることも見逃せません。
即日融資を受けられるとは限らない
まず、資金調達スピードに関する注意点です。
メリットでも述べた通り、アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローンは来店を必須としていません。
これにより最短即日融資も期待できるわけですが、100%即日融資を受けられるというわけではありません。
来店の必要性について、アイフルビジネスファイナンスの公式HPには、以下のように記載されています。
Q.契約には来店が必要ですか?
A,必須ではありませんが、必要に応じ来店をお願いする場合もございます。なお、ご契約の手段としてはインターネット・郵送・来店・訪問によるお手続きとなります。 (出典:アイフルビジネスファイナンス「よくある質問」) |
ここにもある通り、「来店不要」ではなく「必須ではない」という点に注意が必要です。
初回利用の場合や融資希望額が大きい場合、少額融資と同じように審査するわけにはいかず、来店を求められる可能性もあります。
この点に注意し、できるだけ余裕を持って利用することが大切です。
金利が比較的高い
一般的に、ビジネスローンは金利設定が高いです。
銀行融資ならば年利1~3%程度が相場ですが、ビジネスローンでは年利15~18%といった条件になることも珍しくありません。
ビジネスローンから借り入れる場合、そもそも経営に何らかの問題を抱えているのが普通ですから、業者としても金利を高くすることでリスクヘッジを図る必要があるのです。
もっとも、ビジネスローンによって金利設定は異なります。
アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローンは、年利3.1%~18.0%の設定です。
これは、他のビジネスローンに比べてやや高い水準です。
他のビジネスローンと比較してみましょう。
PayPay銀行ビジネスローン:1.8%~13.8%
オリックス・クレジット「VIPローンカードBUSINESS」:6.0%~17.8% 東京スター銀行「スタークイックビジネスローン」:4.5%~14.5% ニチデン「事業者ローン」:4.8%~17.52% |
アイフルビジネスファイナンスは、下限値(年利3.1%)でみるとそれなりに低いのですが、上限値(18.0%)でみると他社よりも高いといえます。
また、下限値である年利3.1%といえば、信用金庫・信用組合の融資とあまり変わらない水準です。
銀行融資を断られた会社が無担保で借り入れるのですから、下限水準での融資はほとんど期待できません。
金利の法定上限は、10万円~100万円未満で年18%、100万円以上で年15%です。
この水準が適用される可能性を踏まえて利用を検討しましょう。
金利負担に注意
アイフルビジネスファイナンスの金利は他のビジネスローンよりも高い傾向があるため、金利負担には要注意です。
実際の負担については、シミュレーションしてみるとよく分かります。
- 借入総額:1000万円
- 返済回数:60回
- 年利:15%
この条件で借り入れた場合、月々の元利返済は23万7900円、完済時までに支払う利息の総額は427万3892円です。
調達コストの負担が借入総額に対して約43%になるのですから、銀行融資と同じように考えると資金繰り計画が成り立ちません。
融資上限額は中規模
アイフルビジネスファイナンスでは、最大1000万円までの融資に対応しています。
これは、ビジネスローンの中では中規模です。
他社のビジネスローンと比較してみましょう。
PayPay銀行ビジネスローン:1.8%~13.8%
オリックス・クレジット「VIPローンカードBUSINESS」:6.0%~17.8% 東京スター銀行「スタークイックビジネスローン」:4.5%~14.5% ニチデン「事業者ローン」:4.8%~17.52% |
このように、500万円を上限とするビジネスローンもあれば、1億円を上限とするビジネスローンもあります。
多額の資金調達を必要とする場合、1000万円以上の融資に対応しているビジネスローンや、有担保のビジネスローンの方が適しています。
法人代表者の連帯保証が必要
アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローンでは、無担保での融資に対応しているほか、保証人も原則不要です。
ただし、法人が融資を受ける場合には、法人代表者の連帯保証が原則必要となります。
「無担保」ときけば「無保証」をイメージする人も多いのですが、アイフルビジネスファイナンスでは「第三者の連帯保証が不要」ということです。
信用が悪化しやすい
信用が悪化しやすいことは、事業者向けビジネスローンの大きなデメリットといえます。
信用の悪化は銀行評価の低下に直結し、延いては融資環境の悪化をもたらします。
銀行融資を申し込むと、借入金の内訳明細書を提出しなければなりません。
この明細書には、借入先ごとに借入額や資金使途を明記します。
アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローンを利用した場合、当然明細書にはそれが明記されます。
ビジネスローンは金利が高く、資金繰りの負担になるのが問題です。
返済原資である利益が、ビジネスローンの利息負担によって目減りするのですから、銀行は貸し倒れリスクを高く見積もる必要があります。
また、「ビジネスローンで借り入れた(≒何らかの問題によって、銀行から融資を受けられなかった)」という事実も重要です。
このような理由から、銀行はビジネスローンを利用している会社を低く評価します。
基本的に、ビジネスローンは銀行融資を受けられない場合にやむを得ず利用するものです。
資金調達の軸は銀行融資が理想ですから、ビジネスローンの無計画な利用は避けるべきでしょう。
売掛債権担保融資(ABL)
次に紹介するのは、アイフルビジネスファイナンスの売掛債権担保融資(ABL)です。
(出典:アイフルビジネスファイナンス㈱公式HP)
売掛債権担保融資(ABL)とは?
売掛債権担保融資は、その名の通り売掛債権を担保とする融資です。
近年、政府が売掛債権の活用を推奨していることから、売掛債権担保融資も徐々に普及しつつあります。
しかし、「売掛債権担保融資」は聞いたことがあっても、「ABL」は聞いたことがない人も多いのではないでしょうか。
アイフルビジネスファイナンスの売掛債権担保融資を理解するには、ABLについて正しく知る必要があります。
ABLは動産担保融資
ABLは「Asset Based Lending」の略称であり、動産を担保とした融資のことです。
長い間、日本の金融機関では主に不動産を担保として取り扱ってきました。
これは、戦後から長期にわたり日本の経済が成長を続け、土地価格が上昇し続けたためです。
土地などの不動産を担保とすれば、次第に担保価値が上昇する可能性が高く、保全策としては非常に優れています。
バブル崩壊によって、不動産担保が万能ではないことが明らかとなりましたが、金融機関の融資スキームそのものが不動産担保を重視してきたため、未だに「担保といえば不動産」の考え方が主流です。
これにより、不動産以外の資産を担保とした融資が、日本では長らく発達してきませんでした。
一方海外では、動産を担保とするABLが発達しており、広く普及しています。
担保にできる動産は在庫と売掛債権です。
このうち、在庫は会社によって千差万別であり、製造業者ならば原材料や製品、小売業者ならば様々な商品、畜産業者ならば豚や牛まで担保になり得ます。
中小企業庁の「流動資産担保融資保証制度」が、担保資産の条件を「申込人の有する在庫・売掛債権」としていることからも分かる通り、日本でも在庫・売掛債権を担保としたABLの普及を模索しているところです。
しかし実際には、日本の金融機関は動産(特に在庫)の取り扱いに慣れておらず、普及率は低い水準にとどまっています。
アイフルビジネスファイナンスは売掛債権を担保に
以上の通り、ABLといえば在庫・売掛債権などの動産を担保にした融資です。
ただし、アイフルビジネスファイナンスの場合、「売掛債権担保融資(ABL)」という商品名ではあるものの、一般的なABLとは異なります。
担保になる動産は売掛債権だけであり、在庫の担保利用には対応していません。
したがって、アイフルビジネスファイナンスのサービスは「売掛債権に特化したABL」と考えるとよいでしょう。
売掛債権担保融資(ABL)の流れ
アイフルビジネスファイナンスの売掛債権担保融資の流れも簡単に確認しておきましょう。
公式HPによると、利用の流れは以下の通りです。
(出典:アイフルビジネスファイナンス㈱公式HP)
売掛債権担保融資では、流れの6にある通り譲渡担保登記が必要になります。
担保提供する売掛債権の所有権を、形式的に利用会社からアイフルビジネスファイナンスに移転するのが譲渡担保、所有権の移転を登記することで法的に裏付けるのが譲渡担保登記です。
譲渡担保登記を行うため、事業者向けビジネスローンに比べると流れがやや複雑です。
また、譲渡担保登記に複数の書類を求められるため、事業者向けビジネスローンよりも提出書類が多くなります。
売掛債権担保融資の必要書類は以下の9点です。
- 代表者の本人確認書類
- 登記事項証明書(商業登記簿謄本)
- 決算書原則2期分
- 売掛先との基本契約書
- 売掛金推移一覧表
- 売掛先に発送した請求書直近4ヶ月分
- ⑥の入金を確認できる通帳ページの写し
- 納税証明書
- 定款
売掛債権担保融資(ABL)のメリット
アイフルビジネスファイナンスの売掛債権担保融資には、以下のようなメリットがあります。
最大5000万円まで調達可能
すでに解説した通り、アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローンの融資上限額は1000万円です。
これに対し、売掛債権担保融資は最大5000万円までの融資に対応しています。
事業者向けビジネスローンは無担保ですから、融資先の返済力を重視します。
融資上限額が1000万円であっても、実際の融資額は審査結果に応じて決まるため、数百万円しか調達できないことも少なくありません。
売掛債権担保融資も、融資である以上は返済力を重視しますが、返済力を担保でカバーできます。
このため、事業者向けビジネスローンよりも多く調達できる可能性が高いです。
公式HPにある通り、アイフルビジネスファイナンスでは売掛債権の掛け目を最大80%としています。
仮に、担保提供する売掛債権が全て掛け目80%の評価を受けた場合、計算上は担保評価額6250万円分の売掛債権があれば5000万円の借入れが可能です。
これは、売掛債権担保融資の最大のメリットといえるでしょう。
売掛先への開示は不要
売掛債権担保融資の流れでも解説した通り、担保提供する売掛債権をアイフルビジネスファイナンスに譲渡します。
このとき、権利関係のトラブルを未然に防ぐためにも、対抗要件を具備する必要があります。
そのための方法は、以下の3つです。
- 債務者(売掛先)に債権譲渡通知を行うこと
- 債務者から債権譲渡承諾を取り付けること
- 登記手続きを行うこと
①と②の場合、売掛先に債権譲渡の事実を知られてしまいます。
これによって売掛先から資金繰り難を疑われると、今後の取引に影響する恐れがあります。
アイフルビジネスファイナンスの売掛債権担保融資は、債権譲渡通知・承諾不要(登記によって対応)のため、この心配がありません。
ただし、返済が困難になった場合には、売掛先に対して債権譲渡通知を行う点については留意してください。
返済方法は元金一括返済
売掛債権担保融資の返済方法は、元金一括返済方式だけです。
返済期間は最長5年(60回以内)ですから、元金の返済を長期にわたって先延ばしでき、借入金を効果的に活用できます。
売掛債権担保融資(ABL)の注意点
多額の資金調達にも対応している売掛債権担保融資ですが、色々と注意点もあります。
融資対象は年商6000万円以上の法人
まず、融資対象の縛りに注意が必要です。
融資対象となるのは年商6000万円以上の法人だけで、年商が6000万円未満の法人や個人事業主は売掛債権を所有していても利用できません。
掛け目がやや低い
上記の通り、アイフルビジネスファイナンスでは売掛債権の掛け目を最大80%で評価します。
これは、金融機関の売掛債権担保融資に比べるとやや低い水準です。
掛け目の設定は金融機関によって異なりますが、ペパーダイン大学の2011年の調査によれば、売掛債権の掛け目の上限は中間値で85%となっています。
もちろん、上場企業や自治体など信用力の高い売掛債権であれば、掛け目90%ということもあり得るわけです。
80%以上の掛け目が期待できないことは、アイフルビジネスファイナンスのデメリットといえるでしょう。
金利負担に要注意
売掛債権担保融資の返済方式は元金一括返済、そして金利条件は年利5.0%~15.0%です。
融資可能額が大きいだけに、金利負担には十分に注意してください。
簡単にシミュレーションしてみると、負担の大きさがよく分かります。
- 借入総額:5000万円
- 返済回数:60回
- 年利:15%
この条件で借り入れた場合、月々の支払利息は61万6438円、完済時までに支払う利息の総額は3698万6280円となります。
借入総額に対する支払利息は約74%にもなり、事業者向けビジネスローン以上に金利負担が大きいことが分かるでしょう。
早期返済は違約金がかかる
金利負担を軽減するために、手っ取り早いのは早期返済です。
従来の返済計画よりも早期に返済することで、支払利息の総額を確実に減らせます。
ただし、早期返済には違約金がかかるため注意が必要です。
アイフルビジネスファイナンスの売掛債権担保融資では、違約金として早期返済する元金の3%を支払わなければなりません。
登記コストに注意
売掛債権担保融資には、譲渡担保権設定費用や司法書士報酬などの登記コストがかかります。
これは、事業者向けビジネスローンや売掛債権ファクタリングには必要のないコストです。
売掛債権ファクタリング
三つ目に、アイフルビジネスファイナンスの売掛債権ファクタリングを紹介します。
(出典:アイフルビジネスファイナンス㈱公式HP)
売掛債権ファクタリングとは?
ファクタリングとは、会社が所有している売掛債権を売却する資金調達方法です。
近年、日本で急速に普及している資金調達方法であり、売掛債権活用促進の一環として政府も推奨しています。
GMOインターネットグループやマネーフォワードなど大手企業の参入も相次いでおり、OLTAのようにテレビCMを放映するファクタリング会社も出てきました。
アイフルビジネスファイナンスの売掛債権ファクタリングも、これらと同じように売掛債権を買い取るサービスです。
売掛債権の価値に応じて、額面金額からいくらかディスカウントした価格でアイフルビジネスファイナンスが買い取ります。
これにより、支払期日を待たずに売掛債権を回収し、手元資金を確保できるのが売掛債権ファクタリングの特徴です。
売掛債権ファクタリングは内部資金調達
売掛債権担保融資と売掛債権ファクタリングは、どちらも売掛債権を活用する資金調達方法ですが、両者には以下のような違いがあります。
- 売掛債権担保融資は、売掛債権を担保として融資を受けることで資金を調達する
- 売掛債権ファクタリングは、売掛債権を譲渡・売却することで資金を調達する
売掛債権担保融資は、あくまでも融資を受けることで資金を調達します。
つまり、外部機関から資金の供給を受ける「外部資金調達」です。
一方、売掛債権ファクタリングは、自社の内部留保を売却することで資金を調達「内部資金調達」です。
このように、資金調達先が外部か、あるいは内部かという点に大きな違いがあります。
売掛債権ファクタリングは債権譲渡契約
もう一点、売掛債権担保融資と売掛債権ファクタリングを区別する上で重要なのが契約です。
売掛債権担保融資は融資の一種ですから、他の融資と同様に金銭消費貸借契約を結びます。
これに対し、売掛債権ファクタリングは債権譲渡取引(売掛債権の譲渡によって対価を受け取る取引)のため、契約は債権譲渡契約となります。
売掛債権ファクタリングが債権譲渡契約であることは、金融庁の公式な見解からも明らかです。
一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。
(出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」)
売掛債権ファクタリングが借入れではなく資産売却による資金調達であること、あくまでも債権譲渡取引であることは、メリットを理解する上でも重要なポイントとなります。
売掛債権ファクタリングの2方式
一口に売掛債権ファクタリングといっても、取引の方式には以下の2つがあります。
2社間取引:利用会社とアイフルビジネスファイナンスの2社間で取引する方式
3社間取引:利用会社、アイフルビジネスファイナンス、売掛先の3社間で取引する方式
このように売掛先が関与するかどうかに大きな違いがあります。
2社間取引は売掛先が関与しないため、売掛先に知られることなく資金調達できるのが特徴です。
ただし、返済が困難になった場合には、売掛先に対して債権譲渡通知を行う点については留意してください。
3社間取引には、売掛先が関与することで手数料が安くなるメリットがあります。
売掛債権ファクタリングの流れ
公式HPによると、売掛債権ファクタリングの利用の流れは以下の通りです。
(出典:アイフルビジネスファイナンス㈱公式HP)
流れの2では、以下の書類を提出します。
- 本人確認書類
- 売却する請求書
- 入金済みの請求書
- ③の入金を確認できる通帳
- 事業を行っていることが確認できる書類
このほか、公式HPの説明では分かりづらい流れについて2点解説します。
登記手続きは不要
2社間取引の売掛債権ファクタリングには売掛先が関与しない(債権譲渡通知・承諾を行わない)ため、対抗要件を備えるためには債権譲渡登記を行うのが一般的です。
しかし、アイフルビジネスファイナンスの売掛債権ファクタリングでは、債権譲渡登記を行いません。
これは、流れの4にある通り電子署名で契約するためです。
電子署名の仕組みについて、デジタル庁は以下のように説明しています。
平成13年4月1日から施行された 「電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)」(電子署名法)に基づき、本人による一定の要件を満たす電子署名が行われた電子文書等は、真正に成立したもの(本人の意思に基づき作成されたもの)と推定されます。また、認証業務のうち一定の基準を満たすもの(特定認証業務)は国の認定を受けることができます。
(出典:デジタル庁「電子署名」)
ごく簡単に言えば、「電子署名法に基づき、電子署名は債権譲渡登記と同様の効力を有する」ということです。
したがって、債権譲渡登記を行う必要もありません。
2社間取引は精算が必要
公式HPでは、手続きの流れを「買取実行」までしか説明していません。
しかし2社間取引の場合には、この後に精算手続きを行います。
2社間取引には売掛先が関与しないため、売掛先は売掛債権ファクタリングの利用も把握していません。
当然、譲渡によって債権者がアイフルビジネスファイナンスに移転したことも知らず、支払期日には利用会社に代金を支払います。
債権者はアイフルビジネスファイナンスですから、利用会社はこの代金をアイフルビジネスファイナンスに支払い、精算する必要があるのです。
つまり、売掛債権回収の流れは「売掛先→利用会社→アイフルビジネスファイナンス」となり、利用会社が回収を代行する形となります。
この精算が完了したところで、初めて2社間取引が完結します。
なお、3社間取引の手続きは5(買取実行)で終わりです。
3社間で取引するため、売掛先は債権がアイフルビジネスファイナンスに移ったことを知っており、支払先がアイフルビジネスファイナンスに変わることにも承諾しています。
したがって、売掛債権回収の流れは「売掛債権→アイフルビジネスファイナンス」となり、利用会社を介することはありません。
売掛債権ファクタリングのメリット
売掛債権ファクタリングは融資ではないため、事業者向けビジネスローンや売掛債権担保融資とは異なる特徴・メリットがあります。
この点にも注目しながら、売掛債権ファクタリングのメリットをみていきましょう。
融資とは審査基準が異なる
まず、売掛債権ファクタリングと融資では審査基準が異なります。
融資の場合、審査で最も重要なのは融資先の返済能力です。
このため、経営に問題がある会社は融資を受けることができません。
これに対し、売掛債権ファクタリングは利用会社の経営状況よりも売掛先の経営状況を重視します。
アイフルビジネスファイナンスにとって重要なのは、買い取った売掛債権が無事に回収できるかどうかです。
利用会社の経営に問題があったとしても、売掛先の経営に問題がなければ売掛債権を回収でき、利益も確保できます。
だからこそ、利用会社よりも売掛先の経営・信用を重視するというわけです。
審査の基準が根本的に異なるため、融資を受けられない会社でも売掛債権ファクタリングならば利用できる可能性があります。
アイフルビジネスファイナンスの公式HPにも、
「赤字決算・債務超過・銀行リスケ中・開業1年未満・税金未納有でも買取検討可能」
と明記しています。
融資が困難な状況でも資金調達できるのが、売掛債権ファクタリングの大きなメリットです。
無担保・無保証で資金調達できる
売掛債権ファクタリングは、無担保・無保証で利用できます。
事業者向けビジネスローンや売掛債権担保融資では、代表者の連帯保証が必要となりますが、売掛債権ファクタリングは代表者の連帯保証も不要です。
本来、担保・保証は債務不履行に備えるためのものです。
融資であり返済義務がある場合に担保・保証の必要性が生じるのであって、そもそも融資ではない売掛債権ファクタリングでは担保・保証の必要性が全くありません。
また、担保・保証付きの条件で売掛債権を買い取る場合、ファクタリングではなく実質的に貸付けであるとみなされます。
これは、金融庁の見解からも明らかです。
ファクタリングであっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります。
裁判例においても、
〇 ファクタリング業者が債権回収のリスクをほとんど負っていない
といった事情等を考慮して、金銭の授受が金銭消費貸借契約に準じるものと判断されたものがあります。
(出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」)
担保・保証付きのファクタリングは債権回収リスクを回避するためのものですから、貸付けとみなされる可能性が高いです。
もちろん、その場合には貸金三法の規制を受けることとなり、ファクタリングに伴う手数料も利息制限法に準じなければなりません。
また、売掛債権を買い取るのではなく担保とするならば売掛債権担保融資(ABL)と変わらず、あえて売掛債権ファクタリングとして提供する意味がなくなってしまいます。
このような理由によって、売掛債権ファクタリングは必ず「無担保・無保証」というわけです。
スピーディに資金調達できる
色々な資金調達方法がある中でも、売掛債権ファクタリングは特にスピーディな方法です。
アイフルビジネスファイナンスの売掛債権ファクタリングでは、最短即日での買い取りに対応しています。
ただし、最短即日で対応できるのは2社間取引だけです。
3社間取引には売掛先も関与することから、2社間取引よりも手続きに時間がかかります。
売掛債権の内容によっても対応が変わってくるため、資金調達スピードの目安についてはアイフルビジネスファイナンスに直接問い合わせるのが確実です。
手続きが簡単
一般に、2社間取引のファクタリングは手続きが簡単です。
手続きが簡単だからこそ、スピーディに資金調達できるともいえます。
売掛債権ファクタリングの流れでもみた通り、5点の必要書類も基本的には手元にあるものばかりで、取得や作成に手間がかかることもありません。
このほか、紙面で契約する場合には対面や郵送で手続きするのが普通ですから、それなりに手間がかかります。
その点、アイフルビジネスファイナンスは電子署名で契約を行うため、契約時の負担も軽微です。
少額の資金調達にも役立つ
売掛債権ファクタリングは、買取対象債権額を10万円からとしています。
ファクタリング業者によっては、買取対象債権額を数十万円~100万円以上に設定していることもあるため、アイフルビジネスファイナンスの設定はかなり低い水準といえます。
したがって、少額の資金調達にも利用しやすいのが特徴です。
財務を維持しやすい
借入金は他人資本ですから、融資を受けると他人資本が増加し、相対的に自己資本比率が低下します。
自己資本比率は重要な財務指標のひとつであり、自己資本比率が低下すれば経営の安定性を損ないます。
売掛債権ファクタリングは資産の売却ですから、資金を調達しても借入金が増えることはありません。
したがって、財務を維持しながら資金を調達できます。
信用が悪化しにくい
売掛債権ファクタリングは、ビジネスローンのように信用が悪化することはありません。
売掛債権ファクタリングを利用しても信用情報機関へ登録されることはなく、借入金の内訳明細書に記載する必要もないのです。
売掛債権を売却することによって起こる帳簿上の変化といえば、以下の3つです。
- ファクタリングした分の売掛債権が減少する
- アイフルビジネスファイナンスに支払う手数料として売掛債権売却損が発生する
- 額面金額から手数料を差し引いた金額分の現金が増加する
売掛債権売却損が発生することを除けば、「売掛債権が減少して現金が増加する」という動きは、通常の売掛債権回収とほぼ変わりません。
したがって、金融機関の大きく信用・評価が低下し、融資環境が悪化するといった心配は無用です。
売掛先に知られず利用できる
売掛債権ファクタリングを利用する際、多くの会社が懸念するのは売掛先の信用悪化です。
売掛債権担保融資やファクタリングによる売掛債権の利用促進に伴い、中小企業庁では「風評被害の防止」として以下のように呼び掛けています。
- 売掛債権の利用について、売掛先(取引先)等から資金繰りが厳しいのかと言われ、利用により風評被害が発生することが心配、との声が聞かれます。
- 売掛債権の利用促進は国の施策です。本制度の普及、利用促進にご協力下さい。
(出典:中小企業庁「売掛債権の利用促進について」)
中小企業庁が風評被害を懸念していること自体、ファクタリングに信用リスクがあることの証左といえます。
そこで役立つのが2社間取引です。
3社間取引は売掛先に必ず知られますが、2社間取引ならば売掛先に知られることなくファクタリングできます。
ただし、返済が困難になった場合には、売掛先に対して債権譲渡通知を行う点については留意してください。
与信管理の負担を軽減できる
アイフルビジネスファイナンスに限らず、ファクタリングサービスは全てノンリコース契約が原則です。
ノンリコースとは償還請求権がないことであり、買い取った売掛債権が回収できなくなった場合に買い戻しを求める権利のことです。
したがって、「ノンリコース(償還請求権なし)」であるか、あるいは「ウィズリコース(償還請求権あり)」であるかによって、以下の違いが生じます。
- ノンリコース…売掛債権が回収不能になっても、アイフルビジネスファイナンスは利用会社に買い戻しを請求できない。売掛先の破綻リスクはアイフルビジネスファイナンスが全て負担する。
- ウィズリコース…売掛債権が回収不能になったら、アイフルビジネスファイナンスは利用会社に買い戻しを請求できる。売掛先の破綻リスクを利用会社が負担しなければならない。
売掛先の破綻リスクを避けるために重要なのは、売掛先に対して適切な与信管理を行うことです。
信用不安情報を逐一把握し、必要に応じて与信限度額の見直すことで、万が一のリスクを軽減できます。
しかしながら、人手不足が深刻な社会問題になっている昨今、与信管理は大きな負担です。
ノンリコースの売掛債権ファクタリングを利用し、破綻リスクをアイフルビジネスファイナンスに転嫁することによって、与信管理の負担を軽減できます。
売掛債権ファクタリングの注意点
合わせて、売掛債権ファクタリングの注意点も確認していきましょう。
利用できるのは確定債権のみ
一口に売掛債権といっても、取引の状況に応じていくつかに細分化できます。
- 確定債権…(支払期日や支払金額などの)請求内容が確定している売掛債権。商品やサービスの提供が完了し、売掛先が請求書を受領している状態。
- 仕掛債権…請求内容が確定していない売掛債権。売掛先から発注を受けたものの、商品やサービスの提供が完了しておらず、未請求の状態。
- 将来債権…請求内容が確定していない売掛債権。継続取引などにより、将来的に商品・サービスを提供することが決まっているものの、現時点では未請求の状態。
- 不良債権…回収不能に陥った売掛債権。商品・サービスの提供が完了し、請求内容も確定していたが、売掛先の倒産などによって回収できない状態。
これらのうち、アイフルビジネスファイナンスが買取対象としているのは確定債権だけです。
支払期日や支払金額が確定しているからこそ、採算やリスクを測り、買い取りの可否や条件を決めることができます。
請求内容が確定しないうちは資金調達にも使えないため要注意です。
融資よりも調達コストが高い
売掛債権ファクタリングでは、買取手数料率を「買取金額に対して2%~」としています。
2%という手数料をみるといかにも安いのですが、必ずしも安いとは限りません。
まず、売掛債権ファクタリングの手数料率は融資の金利とは異なる概念です。
銀行融資やビジネスローンは「借入総額に対して年あたり〇%」と考えるのに対し、売掛債権ファクタリングは「債権額に対して〇%」と考えます。
融資で1000万円を調達する場合、年利2%ならば年間での支払利息は20万円です。
売掛債権ファクタリングで1000万円を調達する場合、手数料率2%ならば約1020万円の売掛債権が必要となり、手数料の負担は同じく20万円程度で大差ありません。
注意すべきは、ファクタリングする売掛債権は、本来1ヶ月ないし2ヶ月後に回収できるということです。
つまり、同じ2%の負担でも、融資は年あたり20万円、売掛債権ファクタリングは1~2ヶ月あたり20万円という違いが生じます。
売掛債権の回収予定が1ヶ月後ならば年利換算で24%、2ヶ月後ならば年利換算で12%になるのです。
さらに、アイフルビジネスファイナンスの「買取金額に対して2%」というのは、あくまでも特に安い場合の目安に過ぎません。
2%よりも高い手数料率が適用される可能性も十分にあり得ます。
1ヶ月後に回収予定の売掛債権を手数料率10%で売却するならば、年利換算で120%です。
このように考えると、売掛債権ファクタリングの調達コストは、融資よりも高くなることがほとんどです。
精算に気を付ける
売掛債権ファクタリングの流れでも特に述べた通り、2社間取引では精算を以て手続きが完了します。
精算にあたり、トラブルになるケースがあるため注意が必要です。
代表的なトラブルは精算の遅れ、そして利用会社による使い込みです。
支払期日に売掛先から代金を受け取ったら、利用会社はアイフルビジネスファイナンスの指定収納口座に速やかに入金しなければなりません。
契約でも、精算の期限が明確に決められているため、期限に遅れた場合には契約違反に問われる可能性があります。
また、売掛先から入金されたとき、資金繰りが苦しいなどの理由から利用会社が使い込むことがあります。
その時点では「期限までに資金を確保し、アイフルビジネスファイナンスへの精算に回せばいい」と考えるのですが、使い込みに奔るほど苦しい状況ですから、結局精算できずにトラブルに発展するケースが珍しくありません。
精算時のトラブルを防ぐためにも、契約内容はしっかりと確認しましょう。
まとめ
アイフルビジネスファイナンスの事業者向けビジネスローン、売掛債権担保融資(ABL)、売掛債権ファクタリングについて解説しました。
それぞれの使い分けについては、以下のようなイメージです。
- 事業者向けビジネスローン…銀行融資を受けられない、担保が不足している、資金需要が小さい
- 売掛債権担保融資(ABL)…銀行融資を受けられない、売掛債権を担保活用したい、資金需要が大きい
- 売掛債権ファクタリング…融資以外の方法で資金調達したい、売掛債権を活用したい、与信管理に役立てたい
自社の状況に適した資金調達方法を選び、資金繰りの安定を目指しましょう。